丸太小屋へ
冬が明け、雪解けと共に新しい季節へと移りゆく中で切った数十本もの材木が、森から小屋を建てる地に運びだされた。
そんな中、僕は僕で薪割りや蜜蜂、田んぼや畑などへ気がうつり、
大は大で彼女と結婚し、二人で暮らす家を整えるのにあちこちを改装し始め、
それぞれの暮らしが忙しくなり、小屋作りから一線を引いていった。
たくやは自分のペースで一人、コツコツと小屋作りをしていく。
冬の間、三人で丸太小屋へ向かってい過ごしていた日々が懐かしく思う。
集中から分散へ。
これはこれで今僕らが最善の姿でここにいられる一つの形。
地面を叩いて固めて石を置き、太い赤松の丸太を土台に組んでいく。
その土台の各位から栗の木で束(つか)をたて、高床式の骨組みを作っていった。
丸太を動かす時など、たくや一人では出来ないところは声がかかって、皆が集まり力を合わせていく。
そして再び一人でコツコツと。
多少の無理も力任せに一人で無茶をしながらやってしまうたくや。
その姿を見て、もう少し僕らを頼ってくれてもいいのになと少し寂しさを感じる。
まだ僕らの間にあるその壁、そこが崩れる時、またお互いが溶けて一段と仲良くなれるだろう。
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