冬の終わり、春の始まり

この町に暮らし始めて、7年ほどの月日が過ぎ去ってゆきました。

思い返せば、この地に来た当時と、今とでは変わらぬもの、変わったものがいくつもあります。その変化が、日々に緩やかな波を生み、豊かにしてくれています。


今年の冬、僕は大型特殊免許をとって町の除雪隊に入り、除雪の仕事をしました。これまで僕の抱いていた除雪のイメージは「大変な仕事」そのものでした。雪が降れば深夜に起きて家を出なくてはならず、眠ることが好きな僕は、絶対に除雪の仕事だけは自分はできないな。と思っていました。いや、決めていました。


その概念をひっくり返してくれたのがたくやでした。この町に引越してきてその年に除雪の仕事を始めた、彼の姿を見ていると、そんな風に思っている僕自身がバカらしくなるほどに楽しそうに生きていたのです。世界観が揺れ動きました。


そうやって約4ヶ月の冬の間、毎日仕事に行きました。10人ちょっといる除雪隊の方々の殆どが大工さん、石屋さん、材木屋さん等の職人さんです。年齢も僕と20も、30も上の方々がほとんどです。


太郎布という地に暮らして、そんな町の方々と関わる機会がほとんどなかったこれまでの日々。除雪という仕事を通して初めて、面と向かって話をしたなと思います。僕の持っていない価値観を皆それぞれ持っていて、それらと触れ合うことの新鮮さを久しぶりに味わえました。世界は広く、ここには未知なるものが果てのない海の広がっています。思い返せば、そんな素晴らしい世界に生まれて生きているのに、その途上で僕は、価値観も意識も、これだ!と固定しようとしていた気がします。僕はまだまだ変われます。もっともっと大きなものを目指し、生きていけます。そんな思いとともに今年も冬が終わり、清々しい春を迎えることができました。

みみをすます

奥会津金山町の山のてっぺんにある宿とcafe

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